201811/06

ロックンロールが生まれた聖地 メンフィスのサン・スタジオへ [海外旅行 アメリカ]

メンフィスの町はずれにあるサン・スタジオ

メンフィスの町はずれにあるサン・スタジオ

中学時代にラジオから流れるロックを耳にして以來、英米の音楽のトリコに。そして大人になると、聴いていた音楽のルーツをさらに知りたくなりました。1950年代に、エルヴィス・プレスリーが衝撃的なデビューをしたサン・スタジオ。そのレコーディングを知ったのはずっと後のことですが、私はいつかそのスタジオに行ってみたいと思うようになりました。今回はテネシー州メンフィスにある、そのサン・スタジオへの旅を紹介します。

革命的だったエルヴィスの登場

一般的にはロック(ロックンロール)の始まりは、1954年5月に発売されたビル・ヘイリー・アンド・ヒズ・コメッツによる「ロック・アランド・ザ・クロック」の大ヒットによると言われています。しかしロックンロールを定着化させたのは、エルヴィス・プレスリーの人気によるものでしょう。1954年7月5日、トラックの運転手だったエルヴィスは地元メンフィスのサン・スタジオで、「ザッツ・オールライト」を録音。それがローカルヒットし、翌年の大手レコード会社RCAとの契約につながります。そして1956年の「ハートブレイク・ホテル」で初の全米1位を獲得するのですが、そのスタートとなったのがこのスタジオなのです。

エルヴィスというと、白いジャンプスーツにリーゼント、ちょっと格好悪いおじさんと思う人もいるかもしれません。私も最初はそうでしたし、今もルックスはそんなにいいとは思いません。ただし、歌は抜群に上手いと思います。それに気がついたのは、ずいぶん後になってからのことでした。今では当たり前のことですが、当時の白人シンガーの歌の多くは、バックビートをあまりきかせられず、リズムの裏がない感じでした。当時、それができるのは黒人だけだったのです。なのでエルヴィスの登場は、「黒人のサウンドとフィーリングを持った白人歌手」として驚かれ、注目されたのです。

ツアーはガイドの説明でまわるスタイル

ツアーはガイドの説明でまわるスタイル

ロック創世記のドラマが生まれたサン・スタジオ

貧しい家庭に生まれたエルヴィスが、メンフィスに越してきたのは13歳の時。周囲は黒人ばかりで、エルヴィスはゴスペルなどの黒人音楽に親しんで育ちました。高校を卒業してトラック運転手をしていたエルヴィスは、ある日サン・スタジオでプレゼント用のレコードを自主制作します。その歌声をたまたま聞いたスタジオの持ち主サム・フィリップスは、エルヴィスの歌声にひらめくものを感じ、彼を呼んでレコーディングをします。

エルヴィスのサン・レコードでの初録音となった「ザッツ・オールライト」はB面の「ケンタッキーの青い月」と共に、ラジオでオンエアされましたが、最初、リスナーはみな彼を黒人だと思ったそうです。サンとの契約で5枚のシングルを出した後、エルヴィスは大手のRCAに移籍。こうして彼は全国区のスターになったのです。

エルヴィスが移籍した後のサン・レコードは、ジョニー・キャッシュ、カール・パーキンスなどを発掘しましたが長続きせず次第に縮小し、1968年に売却。スタジオも閉鎖されますが、1987年に再び営業を開始。今ではスタジオは、メンフィスの有名な観光地の一つになっています。U2のアメリカツアーのドキュメンタリー映画『魂の叫び』(1988)にもこのスタジオが出てきますね。

レコーディングスタジオの様子。エルヴィスが使ったというマイクも見える

レコーディングスタジオの様子。エルヴィスが使ったというマイクも見える

見学ツアーで知るサン・スタジオ

スタジオはツアーで見学することができます。見学時間は所要40分ほど。私が参加した時は、ツアー人数は20人くらいでした。最初に狭い階段を登って、展示室になっている2階へ。資料や写真を見ながら、ここでガイドによる説明(英語)が行われます。当時のスタジオ機材や写真がありますが、あらかじめ知識を入れておくとより楽しめるでしょう。

階段を降りると、いよいよ録音スタジオです。今の感覚でいえば狭く、また殺風景ですが、そのほうが何だか時代を感じ、趣きがありました。ここで多くのビッグネームが録音したと思うと、感慨深いものがあります。最後にはエルヴィスが使用したというマイクが登場し、その前で各自記念撮影タイムに入りました。入り口ではグッズも販売されており、私はレーベルのロゴが入った記念Tシャツを、おみやげ用を含めて5枚も買ってしまいました(笑)

 

「ザッツ・オールライト」(エルヴィス・プレスリー)、「ブルー・スウェード・シューズ」(カール・パーキンス)から「エンジェル・イン・ハーレム」(U2)まで、多くの名曲がうまれた伝説のスタジオ、サン。アメリカのルーツ音楽好きなら、ぜひ訪れてほしい場所ですし、行きたいという方も多いでしょう。私に取ってもサン・スタジオを含むこのメンフィスへの旅は、強く印象に残る旅となりました。しかし音楽好きのあなたにとっても、この旅は“一生モノ”の旅になるかもしれません。

 

[ DATA ]

URL( www.sunstudio.com/ )
アクセス:
メンフィスの中心部からは2kmほどなので徒歩でも行けるが、途中人気の少ないところもあり、タクシー移動が無難。または無料バスのサン・スタジオ・シャトルが市内から1時間おきに巡回している。
ツアー:
10:30〜17:30の1時間おき。所要約40分。大人14ドル。支払いは現金のみ。

 

 

前原 利行

日々、自分の興味があるものを追いかけています。音楽、映画、アート、歴史、そしてまだ見ぬ世界の風景や文化…。心に刻まれた一生モノの経験が、自分の最大の財産でしょうか。これからも、まだ知らない出会いを探していきたいと思っています。

前原 利行
この記事を書いた人

この記事を書いた人前原 利行

FEATUREDおすすめ記事