201901/15

セビーリャのセマナ・サンタを見に スペインのアンダルシア地方へ [海外旅行 スペイン]

聖体行列のグループ。衣装に一瞬ぎょっとするかも

聖体行列のグループ。衣装に一瞬ぎょっとするかも

スペインのアンダルシア地方というと、アルハンブラ宮殿があるグラナダが有名ですが、他にも見るべきところは数多くあります。アンダルシアの中心都市セビーリャは、大航海時代に新大陸の富が集まり栄えた町。世界遺産にも登録された古い建物が多いですが、この町はお祭りの「セマナ・サンタ」でも有名です。これはスペイン全土で行われる宗教行事ですが、このセビーリャのものが特に盛大です。そのお祭りに合わせてセビーリャに行った経験は、私にとってとても印象に残るものでした。

大航海時代に貿易港として栄える

市内を流れるグアダルキビル川に面した「黄金の塔」。見張り塔として使われていた。

市内を流れるグアダルキビル川に面した「黄金の塔」。見張り塔として使われていた。

都市圏の人口約130万人というセビーリャは、マドリード、バルセロナ、バレンシアに次ぐスペイン第4の都市です。アンダルシア地方だけでなく、スペイン南部を代表する都市と言っていいでしょう。日本では「セビリア」とも書かれますが、スペイン語では「セビーリャ」あるいは「セビージャ」と呼ぶのが正しいです。

古代ローマ時代からこの場所に町はありましたが、繁栄したのはカスティーリャ(のちのスペイン)王国がイスラーム教徒から町を奪ってから。セビーリャは内陸にありますが、海からグアダルキビル川を上ってきた船が停泊する港があり、スペインの商業の中心として発展していったのです。とくに新大陸“発見”後はスペインと新大陸との貿易を独占し、アメリカの金銀がここからヨーロッパに上陸しました。そのためセビーリャは、16〜17世紀にはスペインで最も人口が多い都市になったほどでした。当時の華やかさを伝えるカテドラル、アルカサル、そしてインディアス古文書館(当時は商品取引所)などの建物が、現在、世界遺産に登録されています。

スペイン語圏で行われる「セマナ・サンタ(聖週間)」って何?

黒頭巾と白頭巾の親子。行列には親子や子供達のグループもあった

黒頭巾と白頭巾の親子。行列には親子や子供達のグループもあった

「セマナ・サンタ」とは英語でいう「イースター(復活祭)」のこと。イエスの復活を祝うキリスト教のお祭りが、スペイン語圏で発達したものです。そのためスペイン以外のラテンアメリカでも、セマナ・サンタが祝われる地域が多いです。この復活祭は、毎年日にちが変わる移動祝日で、カソリックやプロテスタントなどの西方教会だと「春分の日の後の最初の満月の次の日曜日」と決められています。そして復活祭からさかのぼった一週間が「聖週間」になるのです。

「なぜ一週間もかかるの?」と思われるでしょうが、意味があります。復活祭の一週間前の日曜日は「聖枝祭」といい、イエスがエルサレムに入城した日を祝います。以下、聖木曜日は最後の晩餐。聖金曜日はイエスが十字架に架けられた日、聖土曜日はイエスの遺骸が安置された安息日、そして日曜日はイエスが復活した日と、聖書の記述にのっとって毎日何かしらの宗教行事があるのです。

この期間は、「プロセシオン」と呼ばれる聖体行列がセビーリャの街中を練り歩きます。市内の各教会にあるイエス像やマリア像を持ち出し、神輿を担ぐようにしてセビーリャのカテドラルまで往復するのです。

混み合う前にセビーリャを観光

スペイン最大というカテドラルは15〜16世紀に建てられた

スペイン最大というカテドラルは15〜16世紀に建てられた

私がセビーリャを訪れたその年のセマナ・サンタは3月中旬。ちょうどその週からスペインは急に暖かくなり、一気に春めき始めました。聖枝祭の翌日、セビーリャ入りした私は安宿を探し、まずはチェックイン。お祭り期間なので通常より高めです。これが聖週間の金・土・日曜になるとさらに上がり、通常の2倍の料金になりますが、それでも宿が取れないよりはマシですね。セビーリャのセマナ・サンタは有名なので、国内国外問わず観光に来る人が多いのです。

聖週間の後半になると観光施設も閉まってしまうので、到着してすぐですがセビーリャ観光をしました。最大の見どころは、世界遺産でもあるスペイン最大の「カテドラル(セビーリャ大聖堂)」です。これはローマのサン・ピエトロ寺院、ロンドンのセント・ポール寺院に次ぐ、世界で三番目に大きなキリスト教会。1401年に巨大な聖堂を建てようと決議されてから、完成までにおよそ100年かかりました。中に入ると、しばしそのスケールに圧倒されます。コロンブスの墓もここにありましたよ。

宮殿として使われていたアルカサルの中庭

宮殿として使われていたアルカサルの中庭

この大聖堂はイスラーム時代のモスクを基にしているのですが、それがよくわかるのが鐘楼のヒラルダの塔でしょう。これはモスクのミナレットをほぼ転用したもので、かなりエキゾチックに見えます。

同じく世界遺産の「アルカサル」はイスラーム時代の王宮を壊し、歴代のスペイン王たちがその場所に増改築を繰り返した宮殿です。建築様式はアラブ様式とキリスト教の様式を折衷したムデハル様式で、グラナダのアルハンブラ宮殿にも似ていました。

セマナ・サンタ当日のプロセシオン

期間中は毎日、聖像が市内を練り歩く

期間中は毎日、聖像が市内を練り歩く

翌日の午後、通りへ出るとプロセシオン(聖体行列)はすでに始まっていました。道路はすでに見物客でいっぱいです。市内の各地区の教会にある、とっておきの聖像を運んでくるのでしょう。台に乗ったイエスやマリアの聖像と、それを引くグループが次から次へとやってきます。驚いたのは、中には三角頭巾のグループがいることでした。これは映画やニュースで見るアメリカの白人至上主義団体KKK(ケークラックスクラン)の衣装とそっくりです。しかしKKKとはまったく関係ありません。もちろんセビーリャの方が先です。

この行列は全部で58グループあり、参加者は最大で5万人とのことでした。一番盛り上がるのは聖金曜日で、この夜は深夜まで通りに多くの人々が集まり、身動きが取れなくなるほどとか。ただし私は火曜と水曜のプロセシオンを見て、混み合う前の木曜日にセビーリャを発ちました。それでも「セマナ・サンタ」の雰囲気は十分に堪能できましたよ。出発する頃にはセビーリャはすっかりお休みモードに入っており、夜10時過ぎでも小さな子供を連れた家族連れが散歩をしているほど。その中をまだ衣装を半分着た人たちが歩いているなど、日本の夏祭りの雰囲気になんとなく似ていました。そして私も、祭りの一員として参加している気分を楽しめました。

旅先でお祭りに出会うと、ずいぶんと得をしたような気分になりワクワクします。それにお祭りの高揚感は世界共通。この時はちょうど春祭りがスペイン各地で行われていたので、それに合わせての旅でした。これは私の体験でしたが、お祭りや行事に合わせて旅に出るのも、あなたの“一生モノの旅” になるかもしれませんよ。

 

[DATA]

セビーリャのセマナ・サンタ
https://www.spain.info/ja/que-quieres/agenda/fiestas/sevilla/semana_santa_de_sevilla.html(スペイン政府観光局)

http://www.visitasevilla.es/en(セビーリャ観光局)

[アクセス]
マドリードから特急で約2時間半。バスだと約6時間。
2019年のセマナ・サンタは4月14〜21日

セビーリャ大聖堂
http://www.catedraldesevilla.es/

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一生モノ 編集部

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