201902/13

スターになった気分で散策 大都会のオアシス、ニューヨークのセントラルパーク

公園南側にある直線の並木道ザ・モール

子供の頃からアメリカ映画や洋楽で育ってきた私には、ニューヨークに行ったら訪れたい場所のひとつにセントラルパークがありました。この都会のオアシスとも言える公園は多くの映画のロケ地となり、ビッグネームのコンサートも開かれるなどと親しみがあったからです。今回はそんな私の憧れの場所、セントラルパークをご案内します。

セントラルパークの概要と歴史

マンハッタンの真ん中にあるセントラルパークは、南北約4km、東西0.8kmの長方形の形をしています。日比谷公園の約21倍あるという公園は起伏に富んでおり、森や丘、池、広場などがあるほか、スケートリンクや動物園、温室もあります。

開園は1873年ですから日本では明治維新のころ。当時のニューヨークはまだ人口も少なく、街の中心はずっと南で、このセントラルパークがあるあたりはまだ「郊外」といった趣きでした。ジョン・レノンが住んでいたことでも知られるダコタ・ハウスが、このセントラルパークに面して建てられたのは1884年のこと。その名前の由来が「周囲が(当時の)ダコタ州のように閑散としていたから」というくらい、この辺りは淋しかったようです。しかし20世紀に入ると、周囲は一気に高級住宅街に変わっていきます。それにともないセントラルパークは、周囲の住民の憩いの場になっていきました。

ニューヨークの治安が悪化した70年代末になると、セントラルパークは強盗やレイプ事件が続出するという「犯罪の温床」のイメージがついてしまいます。これが改善されたのはアメリカの景気がよくなった90年代以降のこと。セントラルパークの犯罪件数は、この20年で1/10に減ったといいます。

ジョン・レノンを記念する公園内にあるストロベリーフィールズ。 そこに埋め込まれた「imagine」のプレート

ジョン・レノンとセントラルパーク

公園は広いですが、ほとんどの観光客が散策するのは南側の部分ではないでしょうか。今回のセントラルパーク散策のスタート地点は、西72丁目にあるダコタ・ハウス向かいの入り口からです。

ダコタ・ハウスは前述したようにジョン・レノンがオノ・ヨーコと一緒に住んでた高級アパートメントで、レノンの部屋はセントラルパークに面した最上階の角、公園が見渡せる位置です。このダコタ・ハウスを舞台にした映画にはオカルト映画の傑作『ローズマリーの赤ちゃん』、トム・クルーズ主演の『バニラ・スカイ』などがあります。

レノンはこのアパートに帰宅したところ、玄関で撃たれて亡くなりました。公園に入ってすぐの場所にはレノンを記念した「ストロベーフィールズ」があり、「イマジン」のプレートでは記念写真を撮るファンの姿が絶えません。自宅から近いこともあり、ジョン・レノンのPVのうち「マインドゲームス」と「ウーマン」はセントラルパークで撮影されています。また、生前最後のアルバムとなった『ダブル・ファンタジー』の篠山紀信によるジャケット写真も、このセントラルパークで撮影されています。

ベスセダ噴水の向かいにあるベスセダ・テラス。上は道路になっており、車が走っている

ボウ・ブリッジとベスセダ噴水

ストロベリーフィールズから下って行くと、池が見えてきます。ここにかかる橋が「ボウ・ブリッジ」です。「ボウ」は「弓」のことで、橋の真ん中が少し盛り上がっていることから名付けられました。

1873年の開園時には製作された「ベスセダ噴水」。多くの映画のロケ地になっている

橋を渡らずに先に進むと、1873年製作の「ベスセダ噴水」に出ます。周辺はベスセダ・テラスという見晴台になっています。ここは『素晴らしき日』『世界中がアイ・ラブ・ユー』『アベンジャーズ』など様々な映画のロケに使われていますが、私が一番印象的なのは『魔法にかけられて』です。おとぎ話の世界に住むジゼル姫が現代のニューヨークに現れるミュージカルコメディで、ディズニー映画のパロディにもなっています。この噴水広場では「That’s How You Know」が歌って踊られますが、セントラルパーク内の他の見所も映し出されるので、行く前に必見ですよ。

セントラルパークの南側にある緑地「シープ・メドウ」。かつてはその名のように牧羊地だった

並木道ザ・モールと緑地のシープ・メドウ

このベスセダ噴水から南に延びているのが、公園内で唯一まっすぐな道が続く「ザ・モール」という歩道です。すぐに道の上に橋がかかっていますが、この橋の下、歩道の屋根の部分にあたるのが「ミントンタイルの天井」です。橋の下を抜けてザ・モールを進むと、アイスクリームやホットドッグの屋台が並ぶ並木道になります。映画では『クレイマー、クイレマー』『バニラ・スカイ』に登場しますね。

このザ・モールの西側にある広場「シープ・メドウ」は、手前の緑と奥に見える摩天楼の対比がすばらしいニューヨークを代表する風景。天気のいい日は日光浴している人の姿が見られます。映画では『フィッシャーキング』『メン・イン・ブラック2』『クローバーフィールド』に登場します。

ザ・モールの西側にあるレストラン「タバーン・オブ・ザ・グリーン」もよく映画に登場します。1976年の改装後はセレブのパーティにもよく使われたとか。映画『ゴーストバスターズ』にも出てきますね。ただし2014年の再オープン後は、カジュアルなレストランに変わってしまいました。

公園内にあるレストラン「タバーン・オン・ザ・グリーン」

人気コンサートが開かれたザ・グレート・ローン

さて今までは公園を南に下ってきましたが、今度はセントラルパークの中央にある一番大きな広場を紹介しましょう。「ザ・グレート・ローン」と呼ばれるこの広場では、1981年にサイモン&ガーファンクルの再結成コンサートが行われました。入場無料のフリーコンサートで、50万人もの人が集まったといいます。その放送を当時テレビで見て、「外国の公園ではこんなすばらしいライブがあるんだ」と羨ましく思ったことを覚えています。この場所では他にもエルトン・ジョンやダイアナ・ロスもコンサートを行っています

公園はこのザ・グレート・ローンから北にも続いてはいますが、残念ながら私は行ったことがありません。歩く人は南側に比べて少ないようです。夜や早朝でなければ治安面でそれほど心配はないようですが、ひとり歩きは避けたほうがいいかもしれません。



好きな映画や音楽の舞台になったセントラルパークは、私にとって単なる公園ではありません。そこはかつて夢に見た世界に連れて行ってくれる、特別な場所なのです。きっとあなたもこの公園に行けば、どこかで見た風景をいくつか思い出すのではないでしょうか。ニューヨークのセントラルパークはそんな私にとって“一生モノの旅”の場所のひとつなのです。


[DATA]

セントラルパーク(www.centralparknyc.org)
タバーン・オブ・ザ・グリーン(www.tavernonthegreen.com)

 

前原 利行

日々、自分の興味があるものを追いかけています。音楽、映画、アート、歴史、そしてまだ見ぬ世界の風景や文化…。心に刻まれた一生モノの経験が、自分の最大の財産でしょうか。これからも、まだ知らない出会いを探していきたいと思っています。

前原 利行
この記事を書いた人

この記事を書いた人前原 利行

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