201903/18

エーゲ海で過ごす優雅なバカンス 青く澄んだ海と白壁の家々

ポストカードでもおなじみの、白壁のパラポルティアニ教会

ギリシャというと真っ先に浮かぶのは何でしょう。歴史好きの私は別にして、多くの人は白壁の家々が並ぶエーゲ海の島を連想するのではないでしょうか。深い青色をしたエーゲ海は、世界でも有数の美しい海です。そんなエーゲ海の中でも一、二の人気を競う島がミコノス島です。白壁の町、入り組んだ路地、丘の上に立つ風車、夜になるとにぎわうカフェやレストラン。たぶん我々が思い描く“エーゲ海の島”がミコノス島にはあります。今回はピークシーズンの少し前、6月初旬に訪れたミコノス島の様子を紹介します。

バカンスシーズン少し前のミコノス島へ

エーゲ海のキクラデス諸島。そのほぼ中央にあるミコノス島は、毎年6月から9月までのバカンスシーズンには大勢の旅行者でにぎわいます。ただし私が訪れたのは6月に入ってすぐだったので、まだピークではありませんでした。

真夏ではないもののギリシャの空は申し分なく晴れ渡り、日中は半袖でも暑いくらい。夏至も近いので日没は8時半ごろと1日をたっぷり楽しめます。ただし海に入るには少し冷たいですが。とりあえず私はこの島で一足早いバカンスを過ごすことにしました。

建物の木の部分は青く塗られていることが多い。また壁に花をあしらっているのもきれい

白壁の家々が続くミコノスタウン

島にある町は、500m四方ほどのミコノスタウンだけです。狭い路地が入り組み、多くのカフェやバー、レストラン、ショップがあります。歩いていると、壁に白いペンキを塗っている姿をあちこちで見かけました。忙しくなるシーズン前に塗り直しているのでしょう。白く塗るのは、強い太陽の日差しを反射して家の中が暑くならないようにするためでしょうか。それとも月明かりの中でも家が見えるようにするためでしょうか。ともかく見た目が白一色という町は、とても明るく感じます。ドアや木の枠は青や赤というのも、アクセントになっていていいですね。

飼いネコなのか野良ネコなのか、島のあちこちでネコの姿が目につく

そんな街を散策していると、よく視界にネコの姿が飛び込んできます。とくに階段は絶好のくつろぎ場所のよう。ミコノス島はネコ好きにはたまらない場所でしょうね。観光客の残り物をいただいて育っているのでしょうか

デロス島のアポロン神殿跡

歴史の舞台から消えたデロス島

ミコノス島にはこれといった歴史的な名所はありませんが、フェリーでわずか30分の距離に有名なデロス島があります。ギリシャ神話では、デロス島は太陽の神アポロンと双子で月の女神アルテミスが誕生した場所とされています。世界史では前478年に結成された「デロス同盟」が有名ですね。ペルシア戦争に勝ったギリシャ軍はその再来襲に備え、アテネを中心に200というポリス(都市国家)が軍事同盟を結びました。その本部が置かれたのがデロス島で、金庫に納入金が集められ、同盟会議も行われました。しかしこれは「アテネ帝国」とも呼べるもので、のちに金庫はアテネに移され、ペルシアと和議を結んだ後もアテネは同盟を強制しました。

かつて島には1万人あまりの人が住んでいましたが、現在は無人島です。残念ながら遺跡にあるアポロン神殿は、土台の部分しか残っていませんでした。デロス島のシンボルでもあるライオン像はその神殿に奉納されたものですが、レプリカで本物は博物館にあります。5500人を収容する大きな古代劇場もありました。遺跡は広く日陰がないので、夏場は帽子やサングラス、水のペットボトルは必携です。このデロス島の遺跡は世界遺産に登録されています。

ミコノスタウンのリトル・ヴェニスと呼ばれる観光エリア。後ろの丘に風車が見える

村上春樹氏があの名作を執筆していた島

再びミコノス島です。リトル・ヴェニスと呼ばれる港のレストラン街で休憩していると、近くの丘上に5つの風車があるのが見えました。それらはもともと小麦の粉挽き用に使われていたものですが、今では観光用に残されているのです。

海から少し離れた路地を歩くと、クラシックやニューエイジ風の音楽が流れている小洒落たカフェがいくつか目につきます。ある店ではこざっぱりした男性客が多かったのですが、ミコノス島はゲイカップルに人気の島でもあるんですね。後で知りました。

さて1990年代、作家の村上春樹氏がこのミコノス島に滞在していたことはご存知でしょうか。ベストセラーになった『ノルウェイの森』は、このミコノス島滞在中に書かれたものです。また、ミコノス島での滞在話はエッセイ『遠い太鼓』にも書かれているので、行く前に読んでおくと興味がより増すかもしれません。

夕暮れが近づいてきました。アノ・ミリの丘の上に登り、そこから港を見下ろします。空の色が次第に濃くなり、島の家々の明かりが目につくようになってきました。素晴らしいエーゲ海の日没が目の前に広がります。その景色を私はひとり、目に焼き付けていました。日本では味わえない贅沢な時間を使って。

湾を見下ろし夕暮れを待つ。正面に5つの風車が小さく見えた

 

 

エーゲ海の小島ミコノス島。日頃はせわしなく観光と移動の旅をしている私ですが、ここでは見どころもデロス島ぐらいしかないこともあり、のんびりと散策や読書を楽しんでいました。たった数日間の休養ですが、旅にはそんな時も必要です。そしてそんな旅のひとときもまた、“一生モノの旅”なのです。

 

 

[DATA]

ミコノス島へのアクセス
アテネから飛行機で約40分。6〜9月は便数も多く、毎日10便ほど飛んでいる。船の場合はピレウス港から約5時間半。毎日3便以上。夏は片道2時間半の高速船も運行する。

デロス島へのアクセス
ミコノス島よりフェリーが出ている。行きは9時、10時、11時半、帰りは12時、13時半、15時。片道30分。冬季は減便。

 

前原 利行

日々、自分の興味があるものを追いかけています。音楽、映画、アート、歴史、そしてまだ見ぬ世界の風景や文化…。心に刻まれた一生モノの経験が、自分の最大の財産でしょうか。これからも、まだ知らない出会いを探していきたいと思っています。

前原 利行
この記事を書いた人

この記事を書いた人前原 利行

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