201904/01

“一生モノ”となる新婚旅行はどこ? 編集部が選んだハネムーン先5選

グラナダのアルハンブラ宮殿と市街。パラドールは宮殿の敷地内にある(スペイン)

そもそもどこに行くにせよ、ハネムーン自体が“一生モノの旅”であることにはまちがいありません。行く場所は本来それほど重要ではないのです。しかし今回はあえて「こんな旅もできます」という提案をしてみます。実はここで紹介する5つの旅はすべて、実際に編集部の知り合いが行ったハネムーンの中から評判が良かったものから選びました。こんな新婚旅行先もあると、あなたのハネムーンの参考にしてみてはいかがですか?

スペインの宮殿ホテルに泊まる。異国情緒たっぷりのアンダルシア(スペイン)

マドリッドやバルセロナなどの大都市も楽しいスペインですが、ハネムーナーへのおすすめは、落ち着いた雰囲気が漂う地方都市です。とりわけスペイン南部のアンダルシア地方は、かつてのアラブ文化の名残りもあり、雰囲気抜群。私たちがスペインと聞いてイメージするフラメンコと闘牛も、実はアンダルシアが発祥の地なのです。町に着いてしまえば、その中心部はほぼ徒歩圏なので移動の心配もありません。正味一週間ほどあれば、アンダルシアの代表都市を回ることもできるでしょう。

さて、せっかくのハネムーン。ならば泊まってみたいのが、宮殿や古城、修道院などの歴史的建造物を利用した「パラドール」です。アンダルシア人気の都市グラナダのパラドールは、アルハンブラ宮殿の敷地内にあります。なのでそこへの宿泊は、まさに一生の思い出になるでしょう。ほかにもヌエボ橋の眺望で有名なロンダにあるパラドールは、橋のすぐ脇にあり宿泊料金も手頃でおすすめです。

 

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スペイン
Parador de Granada

 

 

エーゲ海のミコノス島の丘上に並ぶ風車(ギリシャ)

青い海と白い壁の町。エーゲ海の島々をフェリーで回る(ギリシャ)

エーゲ海には多くの島々があり、4〜9月のシーズン中はフェリーが頻繁に行き来しています。この半年間は雨も少なく、エーゲ海のすばらしい「青」が堪能できるのでハネムーンに検討してみてはいかがでしょうか。ギリシャの島々の滞在は何も豪華ホテルに泊まる必要はなく、ハネムーンでも青い空と海が見えるテラス付きの客室でのんびりと過すだけで十分なのです。

断崖絶壁の上に町があるサントリーニ島では、白壁の町と青い海のコントラストが堪能できます。とりわけ崖上から見るエーゲ海のサンセットはふたりの一生の思い出になるでしょう。作家の村上春樹氏が滞在し、『ノルウェイの森』を執筆していたのがミコノス島です。家々の壁が白一色で統一されたミコノスタウンの散策は心地よく、湾沿いのレストランで丘上の風車を見ながらのんびりと食事をするのもいいでしょう。そのほかにも、迷宮伝説が残るクレタ島、騎士団領だったロドス島もハネムーナーにおすすめの島です。

 

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ギリシャ政府観光局http://www.visitgreece.gr/

 

 

ジャイプルにある宮殿ホテルのランバーグパレス。ライトアップされた庭(インド)

ラジャスタンの宮殿ホテルでマハラジャの栄華を体験する(インド)

「インドはハネムーナーにはハードルが高い」と考えている方は多いでしょう。しかしインドは世界的な大富豪も数多く輩出している国。豪華なホテルやレストランもあり、さまざまなタイプの旅行ができます。そこで編集部からのおすすめは、宮殿ホテルでの滞在です。インドには、独立まで「藩王」とも呼ばれるマハラジャが統治している地域がありました。そのマハラジャの宮殿が現在はホテルになっているのです。

宮殿ホテルが多いのはインド北西部のラジャスタン州です。州都ジャイプルにあるランバーグパレスはマハラジャの邸宅を改装したホテルで、室内の調度品からレストランや庭園といった施設にいたるまで、すべてがゴージャス。ジョードプルのウメイドバワンパレスは現在も建物の一部に藩王の一族が住んでおり、ここも建築や内装は一級品です。ハネムーンにぴったりなのが、湖上に浮かぶ島がそのまま宮殿ホテルになっているウダイプルのレイクパレスでしょう。こうした宮殿ホテルに泊まり、ふたりでマハラジャ、マハラニ気分を味わってみてはいかがでしょうか? きっと忘れられない思い出になりますよ。

 

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ランバーグパレス
https://www.tajhotels.com/en-in/taj/rambagh-palace-jaipur/

ウメイドバワンパレス
https://www.tajhotels.com/en-in/taj/umaid-bhawan-palace-jodhpur/

レイクパレス
https://www.tajhotels.com/en-in/taj/taj-lake-palace-udaipur/

 

 

こんな雄大なグランドキャニオンも、ラスベガスから足を延ばして行ける

ラスベガスではショッピングとエンタメ、グランドサークルの大自然でリフレッシュ(アメリカ)

どこに行くかに悩みがちなハネムーン。大自然を見ながら心も体もリフレッシュしたいと思う人もいれば、ショッピングやエンタメを楽しみたい人もいるでしょう。そこで編集部がおすすめするプランは、ラスベガスを基点にして「グランドサークル」と呼ばれるアメリカ西部の国立公園エリアを周遊する旅です。

ラスベガスはカジノだけではありません。泊まってみたくなるテーマホテルの数々。シルク・ド・ソレイユをはじめとするエンタメ。そして高級ブランドが入る大型モールから郊外のアウトレットモールまで、ショッピングも大満足。現在はカップルや家族も楽しめる街なのです。

このラスベガスを基点としてツアーやレンタカーで行けるのが、ダイナミックな大自然の景観を満喫できる「グランドサークル」エリアです。ここには日本では到底見ることができないスケールの峡谷グランドキャニオン、波打つような岩の造形のアンテロープ・キャニオン、そしてパワースポットとしても名高いセドナなどがあります。都会のラスベガスと組み合わせると旅に変化がつき、すてきなハネムーンになるでしょう。

 

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ラスベガス政府観光局
https://www.visitlasvegas.com/ja/

グランドサークル(ユタ州観光局)
https://utah.com/itinerary/grand-circle-tour

グランドキャニオン国立公園
https://www.nps.gov/grca/index.htm

 

ベネチアのグランド・カナル(大運河)。ここから多くの小さな運河が枝分かれしている(イタリア)

水の都ベネチアで、ロマンチックな時間を過ごす(イタリア)

車が通れない細い路地を歩いていると突然、広場や運河に架かる橋に出る。目を落とすと、人を乗せたゴンドラが運河を行き交う…。そんなロマンチックな風景が目の前に広がるのがベネチアです。ここは千年にもわたるベネチア共和国の都として繁栄した「水の都」。歴史的な建物から一級の芸術品まで満喫できるこの都市は、ハネムーナーに人気の旅先です。

ベネチアの町歩きは、歴史を感じさせるカフェが並ぶサン・マルコ広場から始まります。広場正面にあるサン・マルコ寺院は、11世紀に建てられたビザンチン建築の傑作。他にも総督が住んでいたドゥカーレ宮殿、リアルト橋、ベネチア派絵画を集めた美術館など見どころは多いですが、やはりベネチアではロマンチックな街の散策が一番印象に残るでしょう。

旅のベストシーズンは春から秋にかけての4〜9月。ただし7〜8月は非常に混み合うのでできれば避けたほうがいいでしょう。連泊するなら、世界遺産のドロミテ渓谷への日帰りツアーもおすすめです。

 

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イタリア政府観光局
http://visitaly.jp/

ベネチア観光局
http://www.venice-tourism.com/en

 

 

一生の思い出となるハネムーン。できれば失敗したくないですが、あまり思いが強すぎると旅先で疲れてしまいます。ただでさえ気が張ってしまう海外。欲張りすぎず、ゆるい日程で回るのが成功の秘訣です。また、行き先選びで大事なのは旅の季節。写真をいっぱい撮るからにはベストシーズンを狙いましょうね。

 

 

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一生モノ 関連リンク
グラナダhttps://issyoumono.com/products/515.html
セビーリャhttps://issyoumono.com/products/526.html
スペイン観光局 公式サイトhttps://www.spain.info/ja/
パラドール公式サイトhttps://www.parador.es/en
スペインのパラドールのサイトだが、日本のホテル予約サイトからも予約ができる

 

 

前原 利行

日々、自分の興味があるものを追いかけています。音楽、映画、アート、歴史、そしてまだ見ぬ世界の風景や文化…。心に刻まれた一生モノの経験が、自分の最大の財産でしょうか。これからも、まだ知らない出会いを探していきたいと思っています。

前原 利行
この記事を書いた人

この記事を書いた人前原 利行

201901/22

2019年ゴールデンウィーク海外旅行のプロがおすすめする海外渡航先5選!

4月27日から5月6日まで最大で10連休になると発表されている2019年のGW(ゴールデンウィーク)。これは今まで長い休みが取れなく、遠出をあきらめていた人にとっては大きな朗報では? そこで今回、“一生モノ”編集部(海外旅行ライター)が2019年GW(ゴールデンウィーク)の海外渡航先のおすすめ5か所を厳選しました。あなたの旅のプランの参考にしてみてください。

音楽好きにはたまらない! ニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテージフェスティバル(アメリカ)

フェスのメインステージ。トリには大物アーティストが出演する(ニューオーリンズ)

フェスのメインステージ。トリには大物アーティストが出演する(ニューオーリンズ)

日本のGW(ゴールデンウィーク)時期に重なり、アメリカで毎年開かれている音楽フェスが、ニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテージフェスティバルです。アメリカ南部、ルイジアナ州のニューオーリンズはジャズの発祥の地であり、アメリカのルーツミュージックが盛んな音楽の街です。このフェスは、名前にこそ「ジャズ」がついてはいるものの、そのジャンルはロック、R&B、ソウル、ブルース、カントリー、ヒップホップ、ゴスペル、ケイジャン、マーチングバンドなど多岐にわたり、アメリカの豊かな音楽地図を知るには最高の音楽フェスです。

2019年は4月27日(木)〜28日(日)と5月2日(木)〜5月5日(日)の合計8日間開催。今期の一番の目玉は、5月2日に登場するザ・ローリング・ストーンズ。他の日のヘッドライナーには、デイブ・マシューズ・バンド、ケイティ・ペリー、サンタナ、ヴァン・モリスン、ダイアナ・ロス、アース・ウインド&ファイヤーなどの出演が決まっています。音楽好きには、まさに“一生モノの体験”となるフェスでしょう。

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公式HP:http://www.nojazzfest.com
旅行の予算を調べる: 航空券・ホテルはどのくらいかかるのか?検索してみよう!(エクスペディア)

 

轟音をあげて流れ落ちる水量が圧倒的。南米屈指のパワースポット、イグアスの滝(ブラジル/アルゼンチン)

ブラジル側の展望台は滝の間近まで行ける(イグアスの滝)

ブラジル側の展望台は滝の間近まで行ける(イグアスの滝)

スケールの大きい大自然が堪能できる南米ですが、なかでもダイナミックな景観を堪能できるのが、世界三大瀑布のひとつ、イグアスの滝です。その大自然の迫力は本当にすさまじいもので、正に“死ぬまでに見たい絶景”の代表でしょう。

ブラジルとアルゼンチンの国境にあるイグアスの滝は、約4kmの間にある大小250以上の滝の総称です。なかでも「悪魔の喉笛」と名付けられた一番奥の大滝が有名です。最寄りの町として、ブラジル側はフォス・ド・イグアス、アルゼンチン側はプエルト・イグアスで、両方からアプローチできます。

ブラジル側は、園内バスを利用して滝の間近まで簡単に行けるのがポイント。一方、大小無数の滝があるアルゼンチン側は、いくつもの滝を結ぶ遊歩道が充実しています。また、ボートで滝壺に突っ込むというツアーも人気です。それぞれに長所があるので、国境を行き来して両方から眺めることをおすすめします。きっと自然の大きなパワーが得られますよ。

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イグアス国立公園(アルゼンチン):https://iguazuargentina.com/en/
イグアス・ジャングル社(ボートツアー):http://www.iguazujungle.com/
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大航海時代の名残りを感じる、ヨーロッパ最西端の首都リスボン(ポルトガル)

サン・ジョルジュ城の高台から見る旧市街とテージョ川(リスボン)

サン・ジョルジュ城の高台から見る旧市街とテージョ川(リスボン)

長い休みが取れるのなら、直行便が飛んでいない国へ行ってみるのはどうでしょう? 編集部がGW(ゴールデンウィーク)におすすめするヨーロッパの都市は、ポルトガルの首都リスボンです。日本ではいまひとつマイナーかもしれませんが、欧米では人気の観光都市ですよ。

リスボンの街の魅力は、ヨーロッパの他の首都のように騒々しくないこと。街の雰囲気は落ち着いており、歩いていて心が安らぎます。市街には世界遺産のベレンの塔とジェロニモス修道院などの見どころもありますが、洗濯物がはためく庶民的なアルファマ地区、古い町並みを走るレトロな市電など、何気ない街歩きが楽しいのです。また、海の幸に恵まれたポルトガル料理は日本人の口に合います。もちろんポルトガルワインも一緒に飲んでみたいですね。

世界遺産のシントラやヨーロッパ最西端のロカ岬などはリスボンから日帰りもできます。また、ポルトガルはそれほど大きい国ではないので、10連休を目いっぱい使って足を延ばし他の街にも行くのもおすすめですよ。

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ポルトガル政府観光局:https://www.visitportugal.com/ja
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熱帯雨林を流れる世界最大の川・アマゾンを楽しむ(ブラジル)

ジャングルツアーでは小さな小舟で支流に入り、野生動物を探す(アマゾン川)

ジャングルツアーでは小さな小舟で支流に入り、野生動物を探す(アマゾン川)

世界最大・最長の川アマゾン。その流域には数カ国にわたる広大な熱帯雨林が広がっています。この大河をいつかは見てみたいという方もいるでしょう。そこでこのGWは10連休を利用し、そのアマゾンに行ってみるのはいかがでしょうか?

観光の拠点となるのはブラジルのマナウスの町。ここはアマゾン川の本流と支流のネグロ川が合流する場所で、川の中央では2つの川の色が数kmに渡って交わらずに流れている様がよくわかります。アマゾンの大自然を満喫できるよう近郊には快適なジャングルリゾートがいくつもあり、滞在しながらボートクルーズや自然観察ハイクなどのプログラムに参加できます。市内の旅行会社でも、日帰りから2〜3泊の熱帯雨林ツアーを催行しており、ピンクカワイルカと泳いだり、ピラニア釣りをしたりも楽しめますよ。

ブラジルだけでなく、上流となるペルーやボリビア側からもアマゾンツアーが出ているので、リマやウユニ塩湖などと組み合わせる旅もいいかもしれませんね。

 

ヨーロッパとアジアが交差する都市・イスタンブール(トルコ)

人々でにぎわう旧市街の埠頭。橋の奥に見えるのは新市街(イスタンブール)

人々でにぎわう旧市街の埠頭。橋の奥に見えるのは新市街(イスタンブール)

紀元330年に「第二のローマ」としてローマ帝国の都に遷都されて以来、ビザンツ帝国、オスマン帝国と1600年近くにわたり大帝国の首都だったイスタンブール。トルコの首都がアンカラに移った現在でも、人口一千万を超えるトルコ最大の都市には変わりません。

イスタンブールは黒海と地中海をつなぐボスポラス海峡を境に、ヨーロッパ側とアジア側に市域が分かれています。そのため「東西文化の交差点」とも言われています。長い歴史と文化があるので見どころは数多く、一週間いても足りないでしょう。世界遺産の旧市街には、ローマ時代に建てられた教会アヤ・ソフィア、オスマン皇帝の居城のトプカプ宮殿、古代の貯水場跡の地下宮殿、青いタイルが美しいブルーモスク、そして屋根付き市場のグランドバザールなどの見どころがあります。

ほかにも歴史好きには、イスタンブール考古学博物館と古来よりの武具が揃う軍事博物館が必見です。クルーズ船に乗ってのボスポラス海峡観光も忘れがたい思い出になると思います。また、坂道が多いイスタンブールの下町歩きもなかなか楽しいですよ。この時期は天気もいいので、イスタンブール滞在はすばらしい旅になるでしょう。

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トルコ政府観光局(日本):http://www.tourismturkey.jp/
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「10連休」と何かと話題が先行している2019年のGW(ゴールデンウィーク)。やはり海外へ出かけたい人が多く、ツアーや航空券の申し込みも例年以上といいます。確かになかなか仕事が休めない人には、リフレッシュするにはいいチャンスかもしれません。そしてそんなきっかけで行った旅が、あなたの“一生モノの旅”になるかもしれませんよ。

一生モノ 編集部

一生モノを探して、日々奮闘中です。実際に足を運び、取材、体験することで、皆さまが一生モノを見つけるお手伝いをしたいと思います。こんなコンテンツや情報が欲しいなどのご要望やご意見、お待ちしております。お気軽にお問い合わせください!

一生モノ 編集部
この記事を書いた人

この記事を書いた人一生モノ 編集部

201812/04

死ぬ前に一度は観たい。来日しないロックミュージシャンのライブを見に、海外へ行く旅 [海外旅行 フェス]

日本に来ないなら海外へ観に行ってしまうのもいい(ニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテージ・フェス)

日本に来ないなら海外へ観に行ってしまうのもいい(ニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテージ・フェス)

中学の時にKISSの来日コンサートに行って以来、ライブに行くのが大好きになりました。学生時代は、多い時には有名無名、国内海外を問わずに毎週のようにロックのライブを観ていた時期もあります。しかし大人になり家庭も持ち、歳も取ると、その回数はどんどん減っていきました。人生も落ち着き、いい年齢になってきたこの頃ですが、今度はかつて見たかったアーティストたちが次々と他界するニュースを聞くようになりました。そこで数年前から、「行けるうちに見ておく」と海外へコンサートを見に行くようにしています。これは自分にとってある意味、時間との戦いの“一生モノの旅”なのです。

早めに行けば、前の方でアーティストを見られるチャンスもある(ニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテージ・フェス)

早めに行けば、前の方でアーティストを見られるチャンスもある(ニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテージ・フェス)

「いつか観たい」ではなく、積極的に実現させる

きっかけは2016年1月10日にデビッド・ボウイが亡くなったことでした。その前年の11月、私はベテランロックバンドであるフリートウッド・マックのオセアニアツアーのニュースを知りました。バンド最盛期のメンバーによる再結成ツアーですが、メンバーも高齢だからこれが最後のチャンスかもしれません。長年のファンなのに一度もライブを観たことがない私は、こちらから海外へ行くのもいいかと思いました。しかし結局は踏ん切りがつかずに諦めてしまったのです。そして年が明け、好きだったボウイが亡くなり大きなショックを受けたのです。ボウイは過去の来日時に2回ライブを観たことがあり、行っておいて良かったと思うと同時に、フリートウッド・マックのライブに行かなかったことを強く後悔したのです。

同じ1月にはイーグルスのグレン・フライと、アース・ウインド&ファイヤーのモーリス・ホワイトが相次いで亡くなりました。共に好きなバンドで来日もしていたのですが、見そびれていたのです。自分が好きなアーティストは60〜70年代デビューが多く、メンバーも高齢なのでそろそろ亡くなってもおかしくありません。ならば「行けるうちに行っておこう!」と、未見の海外アーティストたちの公演スケジュールをチェックするようになりました。「死ぬまでに観る」ことを目標にしたのです。自分だっていつ死ぬかわかりません。また、生きていても病気になって動けなくなることだってあります。ならば後悔するより、いま夢を果たすことにしました。

もちろん遠くからのんびりと見るのもあり(ニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテージ・フェス)

もちろん遠くからのんびりと見るのもあり(ニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテージ・フェス)

さっそく行動開始! 仕事を調整し、チケットを取る

大好きでCDもほぼ持っているのにまだ観たことがない現役ロックミュージシャンは、ブルース・スプリングスティーン、ヴァン・モリソン、トム・ペティ、フリートウッド・マックの4組です(フリートウッド・マックのみバンド)。そのうち日本に一度も来たことがないのは、アイルランドの孤高のシンガー、ヴァン・モリソンです。2月に入りこのモリソンが、4月にニューオーリンズで行われるフェスに出演することを知りました。そこで仕事を調整し、急いでチケットやホテルなどの予約を始めました。

3月になると今度は、ブルース・スプリングスティーンが欧州ツアーを行うことも知りました。スケジュールを見ると5月の連休明けに、スペインのバルセロナで公演があります。バルセロナには家に何度か泊めてもらった友人がいるので、ダメ元で友人に「スプリングスティーンのチケット取れる?」とメールを送りました。公演はサッカーのFCバルセロナの本拠地のカンプノウスタジアムで行われるのですが、ラッキーなことに友人はFCバルセロナの会員で、「会員枠でチケットが取れそう」と返事が来ました。これは利用しないわけにはいきません。

3月末、友人からチケットが取れたという知らせを受け、一番安い航空券の手配をします。一ヶ月ほどの間に、ニューオーリンズとバルセロナ両方に行くので、その前後の仕事が地獄のようでしたが目標があればなんとかなるものです(笑)。まずはGWにニューオーリンズへ旅立ちました。

フードスタンドで地元のファストフードを買って食べるのも、いい思い出(ニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテージ・フェス)

フードスタンドで地元のファストフードを買って食べるのも、いい思い出(ニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテージ・フェス)

ニューオーリンズ、そしてバルセロナに行った2016年

ニューオーリンズは早朝に着き、ホテルチェックイン後、そのままフェス会場に向かいました。1945年生まれのヴァン・モリソンは、その時70歳。1964年にバンド、ゼムのリードシンガーとしてデビューし、1966年以降はソロアーティストとして活躍しています。日本ではあまり知られていませんが、欧米ではトップミュージシャンです。この時は代表曲も取り混ぜる、ほぼ曲間なしの怒涛のメドレーで70分19曲を聴かせてくれ、私は夢が叶い大満足でした。ライブが始まる前には、軽飛行機がその2週間前に亡くなったPRINCEの文字を青い空に描いていました。人はいつ死ぬかわからないもの。私は思い切って行動し、ここまで来られた幸せをつくづく感じました。

ヴァン・モリソンのライブ前に上空に描かれたのは、その2週間前に亡くなったPRINCEの文字(ニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテージ・フェス)

ヴァン・モリソンのライブ前に上空に描かれたのは、その2週間前に亡くなったPRINCEの文字(ニューオーリンズ・ジャズ&ヘリテージ・フェス)

3週間後、今度は私はバルセロナのカンプノウスタジアムにいました。9万人以上を収容できるスタジアムは、グランドまで超満員。隣はアメリカから来たファンで、世界中からこのコンサートを見に来ているのでしょう。ブルース・スプリングスティーンは、1997年以降には来日していません。海外の人気と日本での人気の落差を考えれば、今後も来日は望み薄です。なのでまさか本物を目の前で見られるとは夢にも思っていませんでした。

スプリングスティーンのコンサートが行われたバルセロナのカンプノウスタジアム(バルセロナ)

スプリングスティーンのコンサートが行われたバルセロナのカンプノウスタジアム(バルセロナ)

開演は土曜とはいえ21時。70歳近いのに最初の一時間はほぼ曲間やMCなしで押し切り、そのパワーに驚きました。そしてライブがなかなか終わらない(笑)。3時間を超えると、もうこのライブは永久に終わらないのではないかと思いましたよ。2回のアンコールを含む4時間全36曲のステージに圧倒され、結局、ライブが終わったのは深夜1時でした。生涯に観たベストライブのうちのひとつです。

コンサートグッズ売り場も日本に比べると空いている(バルセロナ)

コンサートグッズ売り場も日本に比べると空いている(バルセロナ)

死の半年前に観たトム・ペティの2017年ライブ

翌年2017年は、結成40周年記念ツアーの一環でトム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズが出演したニューオーリンズのフェスに行きました。1950年生まれのペティとそのバンドは、アメリカではスーパーボウルのハーフタイムショーで演奏するほどの国民的バンドです。しかし日本ではなぜか人気がなく、バンドの単独日本ツアーは1980年の1回だけで、全盛期を日本で見たことがある人はほぼいません。

当日は朝から暴風で、フェス中止一歩手前になりましたが、奇跡的に天候が回復しライブを見ることができました。フェスにもかかわらず、内容は通常のコンサートと同じ2時間にわたる充実したものでした。この時は代表曲を中心に演奏。年齢層は平均50歳ぐらいと高かったですが、会場は大合唱でした。トム・ペティの訃報を聞いたのは、そのライブの半年後の2017年10月でした。ツアーを終えた1週間後に鎮痛剤を過剰服用し亡くなったのです。

 

現在も時おり、海外に観に行きたいライブがあります。もちろんすべてが行けるわけではありません。しかし何度か行った経験があると、行けるか行けないかのハードルは自分の心の中にあると考えるようになりました。“いつか”は受け身では実現できません。自分で積極的に行動し遠くまで観に行ったコンサートやライブは、自分にとっては“一生モノ”の旅になるのです。

前原 利行

日々、自分の興味があるものを追いかけています。音楽、映画、アート、歴史、そしてまだ見ぬ世界の風景や文化…。心に刻まれた一生モノの経験が、自分の最大の財産でしょうか。これからも、まだ知らない出会いを探していきたいと思っています。

前原 利行
この記事を書いた人

この記事を書いた人前原 利行

201811/06

ロックンロールが生まれた聖地 メンフィスのサン・スタジオへ [海外旅行 アメリカ]

メンフィスの町はずれにあるサン・スタジオ

メンフィスの町はずれにあるサン・スタジオ

中学時代にラジオから流れるロックを耳にして以來、英米の音楽のトリコに。そして大人になると、聴いていた音楽のルーツをさらに知りたくなりました。1950年代に、エルヴィス・プレスリーが衝撃的なデビューをしたサン・スタジオ。そのレコーディングを知ったのはずっと後のことですが、私はいつかそのスタジオに行ってみたいと思うようになりました。今回はテネシー州メンフィスにある、そのサン・スタジオへの旅を紹介します。

革命的だったエルヴィスの登場

一般的にはロック(ロックンロール)の始まりは、1954年5月に発売されたビル・ヘイリー・アンド・ヒズ・コメッツによる「ロック・アランド・ザ・クロック」の大ヒットによると言われています。しかしロックンロールを定着化させたのは、エルヴィス・プレスリーの人気によるものでしょう。1954年7月5日、トラックの運転手だったエルヴィスは地元メンフィスのサン・スタジオで、「ザッツ・オールライト」を録音。それがローカルヒットし、翌年の大手レコード会社RCAとの契約につながります。そして1956年の「ハートブレイク・ホテル」で初の全米1位を獲得するのですが、そのスタートとなったのがこのスタジオなのです。

エルヴィスというと、白いジャンプスーツにリーゼント、ちょっと格好悪いおじさんと思う人もいるかもしれません。私も最初はそうでしたし、今もルックスはそんなにいいとは思いません。ただし、歌は抜群に上手いと思います。それに気がついたのは、ずいぶん後になってからのことでした。今では当たり前のことですが、当時の白人シンガーの歌の多くは、バックビートをあまりきかせられず、リズムの裏がない感じでした。当時、それができるのは黒人だけだったのです。なのでエルヴィスの登場は、「黒人のサウンドとフィーリングを持った白人歌手」として驚かれ、注目されたのです。

ツアーはガイドの説明でまわるスタイル

ツアーはガイドの説明でまわるスタイル

ロック創世記のドラマが生まれたサン・スタジオ

貧しい家庭に生まれたエルヴィスが、メンフィスに越してきたのは13歳の時。周囲は黒人ばかりで、エルヴィスはゴスペルなどの黒人音楽に親しんで育ちました。高校を卒業してトラック運転手をしていたエルヴィスは、ある日サン・スタジオでプレゼント用のレコードを自主制作します。その歌声をたまたま聞いたスタジオの持ち主サム・フィリップスは、エルヴィスの歌声にひらめくものを感じ、彼を呼んでレコーディングをします。

エルヴィスのサン・レコードでの初録音となった「ザッツ・オールライト」はB面の「ケンタッキーの青い月」と共に、ラジオでオンエアされましたが、最初、リスナーはみな彼を黒人だと思ったそうです。サンとの契約で5枚のシングルを出した後、エルヴィスは大手のRCAに移籍。こうして彼は全国区のスターになったのです。

エルヴィスが移籍した後のサン・レコードは、ジョニー・キャッシュ、カール・パーキンスなどを発掘しましたが長続きせず次第に縮小し、1968年に売却。スタジオも閉鎖されますが、1987年に再び営業を開始。今ではスタジオは、メンフィスの有名な観光地の一つになっています。U2のアメリカツアーのドキュメンタリー映画『魂の叫び』(1988)にもこのスタジオが出てきますね。

レコーディングスタジオの様子。エルヴィスが使ったというマイクも見える

レコーディングスタジオの様子。エルヴィスが使ったというマイクも見える

見学ツアーで知るサン・スタジオ

スタジオはツアーで見学することができます。見学時間は所要40分ほど。私が参加した時は、ツアー人数は20人くらいでした。最初に狭い階段を登って、展示室になっている2階へ。資料や写真を見ながら、ここでガイドによる説明(英語)が行われます。当時のスタジオ機材や写真がありますが、あらかじめ知識を入れておくとより楽しめるでしょう。

階段を降りると、いよいよ録音スタジオです。今の感覚でいえば狭く、また殺風景ですが、そのほうが何だか時代を感じ、趣きがありました。ここで多くのビッグネームが録音したと思うと、感慨深いものがあります。最後にはエルヴィスが使用したというマイクが登場し、その前で各自記念撮影タイムに入りました。入り口ではグッズも販売されており、私はレーベルのロゴが入った記念Tシャツを、おみやげ用を含めて5枚も買ってしまいました(笑)

 

「ザッツ・オールライト」(エルヴィス・プレスリー)、「ブルー・スウェード・シューズ」(カール・パーキンス)から「エンジェル・イン・ハーレム」(U2)まで、多くの名曲がうまれた伝説のスタジオ、サン。アメリカのルーツ音楽好きなら、ぜひ訪れてほしい場所ですし、行きたいという方も多いでしょう。私に取ってもサン・スタジオを含むこのメンフィスへの旅は、強く印象に残る旅となりました。しかし音楽好きのあなたにとっても、この旅は“一生モノ”の旅になるかもしれません。

 

[ DATA ]

URL( www.sunstudio.com/ )
アクセス:
メンフィスの中心部からは2kmほどなので徒歩でも行けるが、途中人気の少ないところもあり、タクシー移動が無難。または無料バスのサン・スタジオ・シャトルが市内から1時間おきに巡回している。
ツアー:
10:30〜17:30の1時間おき。所要約40分。大人14ドル。支払いは現金のみ。

 

 

前原 利行

日々、自分の興味があるものを追いかけています。音楽、映画、アート、歴史、そしてまだ見ぬ世界の風景や文化…。心に刻まれた一生モノの経験が、自分の最大の財産でしょうか。これからも、まだ知らない出会いを探していきたいと思っています。

前原 利行
この記事を書いた人

この記事を書いた人前原 利行

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