201811/21

シルクロードの大砂丘にたたずみ 沈む夕陽を見る中国・敦煌 [海外旅行 中国]

敦煌の町から向かうと、目の前に大砂丘が迫ってくる

敦煌の町から向かうと、目の前に大砂丘が迫ってくる

私が子供の頃、日本は空前のシルクロードブームで、子供ながらもいつか砂漠の大砂丘を見てみたいと思っていました。30代に入り中国のシルクロードに行き、生まれて初めて砂丘を目にしたときの感動は忘れられません。日本では見られない風景がそこにはありました。今回は私が初めて出会ったその大砂丘、敦煌の鳴沙山を紹介します。

敦煌随一の観光地は、世界遺産の仏教窟が残る「莫高窟」

敦煌随一の観光地は、世界遺産の仏教窟が残る「莫高窟」

シルクロード交易で栄えた町・敦煌

古代、中国の王朝の都は現在の西安(長安)や洛陽などの黄河流域にありました。「シルクロード」とは、そこから「西域」と呼ばれる現在の新疆ウイグル自治区や中央アジアを通り、ローマまで続く交易路のことです。当時の中国と西域の境界線が敦煌の町で、そこから先は漢民族ではない異民族が住むエリアでした。敦煌が栄えたのは、シルクロード交易が盛んになった漢の武帝の時代(前2世紀)からモンゴル帝国時代(13世紀)までのこと。しかしその後、交易路が海上ルートに移り、町は次第に寂れていったのです。

鳴沙山を訪れるなら夕方がいい

鳴沙山を訪れるなら夕方がいい

砂の砂漠は、実はレア?

「砂漠(沙漠)」というと、ラクダの隊商が行くような砂丘をイメージするでしょう。私もそうでした。しかし世界にある砂漠の大半は、砂ではなく石や土からなる「岩石沙漠」や「土漠」で、ところどころには草も生えています。表面が砂の砂漠は、そうした沙漠の中でも特に風によって砂が吹き溜まった場所なのです。中国のシルクロードを代表するタクラマカン砂漠でも、砂丘がある砂漠はごく一部。絵に描いたような美しい砂漠は、私が見た中ではここ敦煌の鳴沙山とピチャンの沙山公園ぐらいでした。

砂丘に行くなら、おすすめは夕刻です。夏の日中は暑くて観光どころではないし、真昼だと影が出ず砂丘が平板に見えてしまいます。太陽の光が斜めにさす夕刻なら、砂丘が作る複雑な曲線に影がくっきりとつき、素晴らしい眺めになるでしょう。

 

大砂丘が目の前に近づいてくる

鳴沙山は、東西40km、南北20kmという砂漠の端に位置する砂丘です。名前の由来は、砂粒が風で擦れあって音を立てることから。私が初めて行った1990年代はまだ、ひなびた観光名所程度の趣でした。ところが2000年代に再訪した時には観光化が進み、砂丘の頂上まで有料梯子ができていました。ここ10年はさらにテーマパーク化しており、今ではバギーやカートも走っての大観光地になってしまったそうです。

町から鳴沙山まではバスがありますが、わずか5kmほどなので私はレンタサイクルで行きました。そうすると、目の前に近づいてくる砂丘をゆっくり感じることができるんですよね。大砂丘が次第に大きくなってくる姿には、「すごいところに来てしまった」感があります。バスですぐに着いてしまうと、きっとそんなこともないのでしよう。

砂丘を登りきった頂上

砂丘を登りきった頂上

砂丘の上に登頂し、日没をすごす

現在は土足禁止のようですが、私が行った当時はとくに足元の規制はありませんでした。とはいえ靴の中に砂が入ってくるので、登る前に麓で裸足になり砂丘にチャレンジです。砂はとても柔らかく、足を入れたそばから崩れ出していきます。なので登ったつもりでも、1/3ぐらいはまた下に下がります。たかだか100mほどの砂丘ですが、登るのにけっこうなエネルギーが必要でした。

息急き切り、ようやく砂丘の頂上に出ました。尾根の部分は固くて比較的歩きやすく、私は人気の少ないところまで移動しました。ちょうど日没が近づき、太陽がオレンジ色に変化していきます。どこまでも続く砂の海原。その向こうには何があるのでしょう。さまざまなことが頭の中に浮かんでは消えて行き、遠くにラクダの隊商の幻影が見えたような気もしました。私はさらさらと音を立てる砂の音に耳を傾け、砂丘の向こうに沈むまで太陽を見続けました。

 

その後も世界各地で素晴らしい砂丘に出会いました。それぞれすばらしかったのですが、子供の頃にテレビで見た「シルクロードの砂丘」のイメージ通りなのは、やはりこの鳴沙山の大砂丘でした。目の前に広がる砂漠のパノラマのインパクトは大きく、この砂丘に登ったことは今でも忘れられません。これも私の“一生モノの旅”のひとつなのです。

 

 [DATA]

鳴沙山
開園:5:30〜21:30(4/1〜10/31)、7:30〜19:30(11/1〜3/31)
料金:120元

一生モノ 編集部

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この記事を書いた人

この記事を書いた人一生モノ 編集部

201811/04

白い砂丘の合間に1年に1度現れるラグーン ブラジルのレンソイス国立公園へ [海外旅行 ブラジル]

目の前に素晴らしい絶景が広がる。ただしラグーンが現れるのは3か月間の限定だ。

目の前に素晴らしい絶景が広がる。ただしラグーンが現れるのは3か月間の限定だ。

世界を旅していると、忘れられない景色に出会うことがあります。個人的な思い出と合わさり強い印象を残す場合もありますが、なかには誰が見ても素晴らしい景色もあります。今回紹介するのはその後者、ブラジルのレンソイス国立公園です。地平線まで続く白い砂丘。その合間にある青いラグーン。その色のコントラストが生む風景は、私にとって忘れがたいものです。しかし誰にとっても、これを目にすれば、“一生モノ”の絶景になるはずです。

白い砂丘が続くブラジルの絶景

ブラジル北東部、大西洋の海岸近くにある小さな町バヘリーニャス。その郊外に広がる大砂丘がレンソイス・マラニャンセス国立公園(以下「レンソイス」)です。この大砂丘を多くの人が「死ぬまでに見たい絶景」にあげる理由は、そのまばゆいばかりの白さでしょう。ふつう砂漠の砂丘は茶色ですが、ここにある砂丘は真っ白。なぜかというと、砂粒がすべて石英からできているからです。強風が吹くこの地域では、川によって流されてきた土砂のうち軽い部分が吹き飛ばされ、その後に重い石英の粒だけが残ったのです。

砂丘は一年中見られますが、砂丘の合間にできる水溜りのラグーンはほぼ7〜9月の間しか見られません。このラグーンは雨季に降った雨が砂丘に浸透し、地表に湧き出てきたのです。ただし雨季が終わると干上がってしまうので、見られるのは3か月ほどの間。それが見たいがために、私はこの期間にツアーが発着する町バヘリーニャスを目指しました。

サンセットもすばらしい絶景。刻一刻と変わる色と影に目を奪われる

サンセットもすばらしい絶景。刻一刻と変わる色と影に目を奪われる

ツアーに参加し、憧れの大砂丘へ

現地発ツアーは何種類かあり、私はそのうちの3つに参加しましたが、一番のオススメは人気の「大レンソイス・サンセットツアー」です。このツアーは午後2時過ぎに町を四輪駆動のトラックに乗って出発。砂丘に3時半ごろに到着し、サンセットを見た後、7時半ごろに町に戻るという内容です。3つのツアーのうち一番遠くまで視界が開け、砂丘を見渡せるのがこのツアーでした。

私が訪れたのは8月上旬。ちょうど砂丘のあちこちにラグーンができており、私を含めツアー客は服の下に水着を着て来ていました。到着した駐車場の目の前には大きな砂丘が壁のようにそびえており、まだ景色は見えません。公園内の砂丘は自然保護から土足禁止なので、車の中に靴を脱いで砂丘に登ります。裸足で砂の上は熱いかなと思いましたが、白い砂は反射率が高いのでほとんど暑さは感じませんでした。

ラグーンの水はプールぐらいの冷たさだが、日向が暑いのでちょうど気持ちいい。

ラグーンの水はプールぐらいの冷たさだが、日向が暑いのでちょうど気持ちいい。

絶景を目で楽しみ、ラグーンの水に浸かる

砂丘の上に立つと視界が開け、想像以上の素晴らしい絶景が目の前に広がっていました。真っ白な砂丘が、文字通り地平線の向こうまで続いています。この景色に観光客たちが歓声をあげました。白い砂丘の谷間に青いラグーンも見えます。写真でもすばらしいと思っていましたが、目の前のスケール感はそれ以上です。

砂丘を降りていき、グループごとに別々のラグーンに案内されます。水温はあまり高くはありませんが、砂の上は照り返しが暑いので、中に入ると気持ちがいいくらい。水の透明度は抜群です。水深も大人が立って胸あたりとちょうどいい深さです。ここから自由時間になり、周囲を散歩するもの、高台に上がって景色を見るものなど、日没まで思い思いの時間を過ごしました。

 

砂丘に沈むサンセットを堪能

5時を回ったころ、ガイドが声をかけてきて、サンセットポイントに移動しました。他のツアー旅行者たちも“展望台”と呼ばれる砂丘の上に集まってきます。刻一刻と夕日が砂丘を染めていき、空の色を変えていきます。みな、目の前の風景に心を奪われ、言葉少なになっていきました。やがて太陽が地平線にふれると、急に周囲の彩度が落ちていきます。太陽が姿を消しました。するとみな魔法が解けたように口を開いて話し出し、そしておもむろに砂丘を降り始めました。私もその絶景を心に焼き付け、帰路につきました。

 

30年近く世界各地を旅し、素晴らしい景色をたくさん見ている私ですが、それでもこのレンソイス国立公園は自分にまだまだ見ていない絶景があることを教えてくれます。地球の反対側にあるブラジルなので、気軽に行くというわけには行かないでしょう。しかし、もし行くチャンスがあったら、迷わず行ってみてください。そこには“一生モノ”の、絶景中の絶景があるのですから。

 

[ DATA ]

アクセス:
基点となる町は、マラニョン州の州都サン・ルイス。ここまではサンパウロやリオ・デジャネイロなどブラジル各都市からの飛行機を利用。サン・ルイスからツアーが発着する町バヘリーニャスまでは、車やバスで約5時間。便利なのはホテルでピックアップしてくれるツーリストバスで、これは宿泊ホテルで申し込むことができる。

ツアー:
個人で国立公園を訪れることはできないので、砂丘へはツアーで行くことになります。いくつもの現地旅行会社がありますが、ツアーの内容はほぼ同じ。おすすめは紹介した「大レンソイス・サンセットツアー」。砂丘には日陰がなく、照りかえしも強いので、サングラス、日焼け止め、帽子、長袖シャツ、砂から荷物を守る袋などは必携。砂が入るのでカメラは防水カメラが便利でしょう。

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