201810/01

デザイナーの自分が本当に欲しい無垢ワークデスクを作る Vol.01 [オーダー家具]

デザイナーの自分が本当に欲しい無垢ワークデスクを作る Vol.01

あっ!

そう気づいたのは、デザイナーという仕事を初めて10年が経過した1月でした。くる日もくる日もPCに向かい、天板がメラミン化粧板のよくあるワークデスクで仕事をしていました。

私は、デザインを考える上で、手触りというかテクスチャのようなイメージが初めにあり、だんだんビジュアルになっていく感じなのですが、いつもこの過程でストレスを感じていたのです。それは「産みの苦しみ」とずっと思っていたのですが、その日は違いました。ふとマウスを持つ右手に目をやると、「あっ」と気づいてしまったのです。

私の右手は、ずっーと(1日12時間以上も)、命がない素材(メラミン)の天板に触れていたのです。その冷たく、命のないドライな感じが、自分自身とてもストレスに感じていたことを・・・

それから、私は自分が納得できるワークデスクを探すため、休日に様々なインテリアショップや家具店に足を運びました。また、ネットで検索をして、「本当に欲しい!」と思えるワークデスクを探しました。
しかし、素材やデザイン、製品の持つ魅力?(雰囲気)が何か違っていたのです。

ワークデスクを探して3ヶ月が過ぎ、疲れて半ば諦めていました。でも1日12時間以上、このまま仕事をしたとしたら、人生の半分を一緒に過ごすワークデスクだと思うとどうしても諦めきれませんでした。

そこで、私は決心しました。「作ろう!」と。大学で建築を専攻しCADも出来たので、どうせなら「一生使えるワークデスクを作ろう」とこのプロジェクトをスタートさせました。

様々な素材を触り、どれが一番、私自身ニュートラルでいられるのかを検討しました。答えはすぐに見つかりました。やはり人間は「木」(無垢材)です。同じ木でも、表面の数ミリだけの「突き板」と呼ばれるものは、長時間触れていると、なぜか気持ちが良くないのです。やはり、中まで全てが木の「無垢材」にたどり着いたのでした。

 

木の種類は何にするか?

無垢材といっても、木目や色、硬さで様々なものがあります。好きな木を調べていくと、結構奥が深い!

 

[ナラ(楢)、ミズナラ (水楢)]

学名:Quercus crispula
品種:ブナ科コナラ属 落葉広葉樹
比重:0.67

産地:
北海道から本州、四国、九州に生育。樺太、千島にも分布。南限は鹿児島県高隈山。ロシア、モンゴル、中国にも分布。中国産、ロシア産が主に使用されています。

ナラ(楢)

特徴:
ナラは、クヌギ、ブナなどとともに「ドングリのなる木」として親しまれています。成熟した森の仕上げに生える主役的な存在の木で、他の樹種を寄せつけない強い生命力で、豊かな森を作ります。北海道産のナラは、数ある広葉樹の中でも最高級材として珍重され、ヨーロッパをはじめとする世界各国へも盛んに輸出。「ジャパニーズオーク」として盛名を馳せました。近年では国産ウイスキーの熟成樽としても利用されており、国際的に高い評価を受けています。

現在、国内で流通している大半はモンゴリナラです。国産材と見分けはつきにくいです。
ナラは、優しく力強い印象の木目は、和洋問わずあらゆる空間にマッチします。板目では、力強い精悍な木目が表れ、ナラ材独特の木目を見せてくれます。一方、柾目で材を取ると穏やかで優しい印象です。たまに「虎斑紋」(シルバーグレイン)という虎の背中の縞模様に似た銀色に輝く木目が表れることがあります。これも無垢材の個性として楽しむことができます。

 

[ウォールナット]

学名:Juglans nigra
品種: クルミ科クルミ属 落葉広葉樹
比重: 0.63

産地:
米国東部全域に分布。主産地は米国中部。
アメリカ東部~中部にかけて南北に連なるアパラチアン山脈一帯に自生。厳しい寒さのもとで時間をかけて生長。

ウォールナット

特徴:
チークやマホガニーと共に世界三大銘木の一つに数えられています。
北欧材随一の人気を誇ります。表面の仕上がりの色のおちつきと光沢のよさ、重厚な木目と高級感は他の追随を許さない。硬く加工後の狂いが少ないため、昔は飛行機のプロペラに使われていました。今では、ライフルの銃床や楽器(ピアノなど)にも使われている高級材。初めのうちは、濃い茶色、そして時間の経過とともに、明るく落ち着いた茶色へと変化します。使い込むほどに味わいが出てきます。

現在利用されている木材の中では、最高ランクの評価を得ている。そのため、「家具材のロールスロイス」とも呼ばれ、家具や高級車のウッドパネルなどに使われている。

 

[チェリー(ブラックチェリー)]

学名:Prunus serotina
品種:バラ科サクラ属の広葉樹
比重:0.55

産地:アメリカ東部全域(ペンシルバニア、バージニア、ウエストバージニア、ニューヨークの各州)

チェリー(柾目・板目)

特徴:
日本のさくらんぼより大きい赤黒い実は果実として有名。
辺心材の区別は明瞭で、辺材は黄白色から乳白色、心材は淡い紅褐色から濃い紅褐色を呈する。使い込むほどに飴色に変色し、高級感がある。使い込むほどに飴色に変色するのが特徴。年を追うごとにどんどん色が変化して行きます。生きている木を使っているという実感を感じられる木材です。

 

[サクラ、ヤマザクラ、シウリザクラ]

学名:Cerasus jamasakura
品種:バラ科 サクラ属 広葉樹
比重: 0.74
産地:本州、四国、九州、朝鮮にも分布

サクラ(柾目・板目)

特徴:
材質は粘りがあって、加工が容易で表面がきれいに仕上がります。それを活かして版画の台木に使われました。江戸時代の浮世絵や書籍の印刷用の版木はほとんどヤマザクラだったそうです。やや硬めの材質で、木目が細かく、目が詰まっています。硬い割に、感触が良く、木のぬくもりが楽しめます。材中にピスフレッタという膿色の斑点が出るものもよく見られます。優しい木目と色合いで、女性的な印象の木です。

 

[クルミ(胡桃)]

学名:Juglans mandshurica subsp. sieboldiana
品種:クルミ科クルミ属(落葉広葉樹)
比重: 0.53
産地:北海道から本州、四国、九州に自生。また、樺太にも分布する。主に、山中の湿地に生え、あまり大径木にはならない。

クルミ(柾目・板目)

特徴:
心材はわずかに紫~赤の入った褐色。辺材は淡褐色(時に灰色を帯びる)。
心材と辺材の色の差は明確で年輪は不明瞭。木肌はやや粗いが、表面仕上げは良好。加工がしやすいのも特徴。粘りがあり、狂いは少ない。 人気のウォールナット材と同じ、クルミの仲間ですが色味は淡く、落ち着いた材色です。 木目のコントラストも強すぎず、優しい風合い。オイルフィニッシュで美しいツヤが出る

 

[クリ(栗)]

学名:Castanea crenata
品種: ブナ科クリ属の落葉広葉樹
比重: 0.63
産地:北海道西南部から本州、四国、九州に生育。

栗(柾目・板目)

特徴:
辺材が狭く、褐色を帯びた灰白色、心材は褐色の木材。タンニンを多く含み、年数が経つと徐々に濃くなり栗色から黒褐色に変化するのが特徴。年輪は明瞭で重硬で弾力があり、水湿によく耐え材の保存性が高い。加工はやや難しい。
優しくも力強い木目がはっきり出るので、どことなく和の雰囲気も感じさせます。

 

やはり、こだわりの無垢材を選べるのがいい

色や木目の雰囲気、手触りなど千差万別です。
デザイナーそれぞれの好みに応じで、選べる様にしなくてはいけないと思いました。
ちなみに、個人的には「チェリー」と「ナラ」が自分に合っていると感じました。

チェリーは、他の材料に比べて色の変化が早く、数年で飴色になるところと、きめ細やかな手触りがGOOD。
ナラは、密度の高い重厚感と明るい、爽やかな色合いが空間をナチュラルにしてくれます。
ゆっくり落ち着いた雰囲気で仕事をしたい時には「ウォールナット」がいいのではないでしょうか?

 

一生モノ 編集部

一生モノを探して、日々奮闘中です。実際に足を運び、取材、体験することで、皆さまが一生モノを見つけるお手伝いをしたいと思います。こんなコンテンツや情報が欲しいなどのご要望やご意見、お待ちしております。お気軽にお問い合わせください!

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201809/13

作り手が想う一生モノとは 飛騨高山の木工職人 工房まめや 鈴木 修さん [一生モノの職人]

飛騨高山の木工職人 工房まめや 鈴木 修さん

1973年千葉県生まれ。高校卒業後、日本の五大家具産地の一つ、岐阜県高山市の工房で木工職人としてのキャリアをスタート。オリジナル家具から特注家具の製作、拭き漆仕上げまで、一人一品製作を行いながら修行の日々を過ごします。その後、飛騨の大手家具メーカー「株式会社シラカワ」で5年間の修行後、2006年「工房まめや」を設立。
・2006飛騨木の国デザイン展 家具・建具賞受賞

無垢家具を創り続ける鈴木さんに、一生モノの家具についてお話をお伺いしました。

 

無垢の家具との出会い

はじめに、修行をさせていただいた、岐阜県高山市の工房での修行が私の基礎となっています。
手道具を使う事に、とてもこだわった工房で、様々な木工の技術を一から修行させていただきました。一人一品製作でオリジナル家具から特注家具の製作、拭き漆仕上げまで行いました。

こちらの工房でお世話になった3年間は、木工のことのみを考えていた、とても充実した時間でした。本当の意味で、無垢の家具の魅力を知ったのもこの時期だったと思います。

 

日本の五大家具産地 飛騨家具

飛騨家具の歴史は、1300年前にさかのぼります。
飛騨国はその昔、薬師寺・法隆寺夢殿・東大寺など多くの神社仏閣の建立に関わり、平城京・平安京の都づくりに活躍しました。日本建築史の黄金時代の一翼を担ったといっても過言ではありません。
まじめで、伝統のある高い技術を誇った彼らは、「飛騨の匠」と賞賛されるようになります。

そんな「飛騨の匠」の意志を受け継ぎ、日本の豊かな自然と西洋の曲げ木の技術が融合した、「飛騨の家具」は誕生しました。曲げ木の高い技術に、無垢材(天然木)の風合いを活かした、美しく、何世代も使っていける丈夫なデザインが特徴です。

 

つくり手として考えている事 (鉋仕上げ)

私が家具を作る上で念頭に置いている事は、
「何世代にも渡って使ってもらえること」。

まず素材に関しては、基本的に良質の無垢材であれば時が経過して使い込んでいく程、深みのある色艶が出て、より魅力的になります。

この艶の出方に関しては、作った時の表面の仕上げ方で差が出るわけですが、一般的な仕上げ方法としては、サンドペーパーで細かく磨き上げます。ところが無垢材の表面は、人間と同じように小さな細胞が並んでいるので、細胞レベルで見ると、細かい傷は取りきれないんですね。

これを昔ながらの道具である鉋でスパッと切ると表面の傷は無くなります。
経年変化による艶の出方がより美しくなり、水などが染み込み難く、汚れにも強くなります。

また鉋で削った軌道も微妙に残すようにしてるのですが、こうする事で作った時の息吹きというか、作った時の温度感、”人”を感じる家具になればと思っています。

理由はわからないけど、「捨てられない家具」というものになれば最高ですね。

 

一生モノとは、どんなものだと思いますか?

「わかりにくいもの」
「一言で説明がつかないもの」

魅力のあるモノをどう作るかと考える時、魅力のある”人”と重ね合わせて考える事が多くて、魅力のある人って一言で説明できない要素を持っているというか、複雑でわかりにくくて深みを感じる人。

もちろん欠点もあるし、独特な特徴もある。
そんな人だと思うんですね。

そういうことが家具で表現できたらと思っています。

すっと付き合っていく一生モノという意味では、結婚生活と似ているというか(笑)
すべてが説明できて、完璧な人とずっと一緒にいると疲れるじゃないですか。
説明できないけど、なんか良い。
そんなモノがずっと付き合っていける一生モノになる気がします。

 

私が鈴木さんと初めてお会いしたのが、2014年の1月。仕事で使うワークデスクをオーダーで作っていただいたのがきっかけでした。その後、年に1回ぐらいのペースで、飛騨高山の工房にお伺いしていました。

今回初めて、鈴木さんの家具造りに対する想いをお伺いしました。私という使う側の人間と鈴木さんという造り手の「一生モノ」に対する感じ方の違いに、とても驚きました。こんな思いで作ってもらっていたんだ!と。

現在、鈴木さんとコラボさせていただき「一生モノのデスク」を制作中です!
デザイナーとして、長時間デスクに向かっている私が、本当に欲しい!一生使いたい!そんな造り手も使う側もこだわり抜いたデスクにしたいと思ってます。制作秘話も近日公開予定です。ご期待ください!


今後も一生モノでは、様々な方の一生モノをお伺いしていこうと思います。
よろしくお願いします。

一生モノ 編集部

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